木杭根系工法
森林の根系が持つ崩壊防止機能から発想を得た新しい工法
近年、各地で頻発する豪雨によって土砂災害が深刻化しています。こうした災害の発生源への対策工として木杭根系工法は開発されました。
森林では樹木の根系がネットワーク状に張り巡らされることで表層の土砂を緊縛し、崩壊を防止する役割を果たしています。この自然のメカニズムに着想を得て、斜面に木杭を打ち込み表層の崩壊を抑止する工法が考案されました。本工法については、越井木材工業株式会社および株式会社コシイプレザービングを中心に、有識者による協議会のもとで斜面表層崩壊の抑止モデルを構築しています。
木杭根系工法の効果検証と今後の展望
木杭根系工法は、森林の根系がもたらす自然の崩壊抑止機能に着目して開発された新しい斜面対策工法です。その効果は、実物大による原位置すべり抵抗試験により検証されており、木杭の設置によってすべり抵抗力の向上が確認されました。施工面では、現場作業の効率化と安全性の向上を目指し、専用の杭打機を用いるなどの省力化にも取り組んでいます。
この工法は、樹木の根系の機能をモデルとしており、特に以下のような箇所での適用が期待されます。
●根系の衰退が見込まれる斜面 表土の移動が激しく、緑化が困難な箇所
●人工的な斜面に根系の機能を補完
このような場所において、山の資源を保全するという理念のもと、より簡易で環境に優しい表層崩壊の対策工として木杭根系工法の活用が進められています。